ゆがんで とける おじかん

すすきの/ヘルス 「あ〜イク恋愛生欲情の扉
宝乃ありな

私には、
エリートの旦那がいる。
顔は
バナナマンの日村に、そっくりである。
旦那が
部屋をノックしてくる。
わたし「はぁい」
だんな「りこんしよう」
わたし「えっ、なんで?」
だんな「ぜんぜん、結婚してる実感もなければ、愛されてる実感もないよ。
もう、3ヶ月くらい、顔を見てない気がするよ」
わたし「新鮮でいいじゃない」
わたしは、
思考を巡らせる。
何がダメだったんだろう。
まず、ほぼ、引きこもり。
まず、夜の生活を、ずっと拒否していた。
まず、3ヶ月連続で、惣菜をテーブルの上に置いておいた。
まず、私は、掃除が苦手。
あー、なるほどなるほど。
こりゃー、確かに、嫁いらなくなるわな(笑)
と思いながら、
私は
ショックながらも、
冷静な自分がいた。
これが
新婚3年くらいなら
私は、泣きわめき、
旦那にすがりついたかもしれない。
でも
今は
結婚してから6年の月日が経とうとしていた。
旦那にたいして、
すがりつくほどの情熱は、もう、ないのである。
だけど、
この引きこもり生活を逃したくない私は、
旦那に
「愛してるわ」
と言ってみた。
「いまさら、そうゆうの、いいよ」
と言いながら
旦那は
パジャマ姿の私を引っ張りだし
外に放り投げる。
私が
玄関の前で
座り込んでると
私の衣類や、
その他もろもろも、
私に向かって、
投げつけてくる。
そして
玄関のドアをバタンと閉めた。
私は
そのバタンという音を聞きながら
涙目になる。
この6年間で、
私は浮気をしたことがある。
旦那にとっては
それもネックになっていたというか、
それが
今回の、りこんの原因になったといっても過言ではない。
それさえなければ、
他のことには目を潰れたらしいので、
やっぱり
旦那は寛大だったのかもしれない。
「いつの話し、してるのよ。
許せないなら、最初から許すふりしなけりゃいいじゃないのよ。
わたし、あのとき、裸で土下座までしてあげたのに!!」
私は逆ギレした。
そのせいで、
いま、この有り様である。
自業自得である。
どうしようもないので、
私は、裸足のまま、トボトボと歩き出す。
旦那が
寂しがってるなんて知らなかった。
だって
今まで一度も文句言わなかった。
それに
どんな私でも愛してくれると言ったくせに!!!
かあちゃんみたいに
愛してくれる旦那のことが好きだった。
でも、
旦那は、私の親ではないのである。
無償の愛なんてないし、
相手そのものを愛せる人なんて存在しないのである。
私が
無償で旦那を愛せなかったのと同じで。
場面は切り替わり、
旦那に
追い出された私が
公園でシーソーに乗って遊んでると、
ホームレスが近付いてきた。
「おじょうちゃん」
「はぁい」
「こんにちは」
「こんにちは」
「グミ食べるかい?」
「うん」
わたしは
ホームレスからグミをもらった。
わたしは
ホームレスのじいさんと
砂遊びをしている。
「そうかい、追い出されたのかい」
「うん」
「薄情な男だねぇ」
「いや、どっちかってゆーと、私が、くそ女だったから(笑)」
「そんなことないよ。
ぼくの家で暮らすかい?」
場面は切り替わり、
私は
ホームレスのお家、テントの中で、暮らしている。
うーむ。
この暮らしも悪くない。
一緒に魚を釣って、暮らしている。
わたしは
ホームレスのじいさんの手を握りしめる。
エリートの旦那に
愛想を尽かされ
家を追い出され、
悲しくて仕方なかったけど、
わたしは
旦那のどこに惚れていたのだろう。
じいさんも
そっと、私の手を握り返してくれる。
この
じいさんには、何もない。
これが、愛だろうか。
愛だけしか、ない。
お互いに、何も求めていない。
場面は切り替わり、
わたしと
じいさんが
仲良く
魚釣りをしていると、
元旦那が近付いてきた。
そして
一言
「おれも、今日からホームレスになるわ」。
すべてを失った旦那には、もう何もない。
愛しかない。
愛だけが残った。
わたしと
じいさんと
だんなは
下心も
利己も
エゴも
孤独も
何もない、性別を越えた絆をゲットした。
いや、孤独は、ある。
でも
それは結婚したところで
子供を生んだところで
親になったところで
なくなるものではないのである。
それを悟った三人は、
誰かに期待するのをやめて、
いつまでも仲良く暮らしましたとさ。
三人は
おそろいのカッパの絵が書いた服を着て、
おそろいのさそりのネックレスをつけている。
ほんとの愛を知った。
めでたしめでたし
の いつかの 夢シリーズ】
えっ、ハッピーエンド?(笑)
おやすみなさい


Posted by:[ 7月10日 23時07分 ]